PHD協会 国際協力エッセイコンテスト2017 受賞者発表

「国際協力と○○のコラボ」をテーマに募集いたしましたエッセイの中から厳正な審査を重ねた結果、受賞作品が決定されました。受賞作品のうち、PHD賞、兵庫県婦人会館ユネスコ基金賞、審査員特別賞、優秀賞を受賞した各作品及び入賞作品を掲載いたします。
たくさんのご応募をいただきありがとうございました。

エッセイコンテスト2017審査委員長
:ワンワールドフェスティバルfor Youth実行委員 高校教諭 山田正人

PHD協会 国際協力エッセイコンテスト2017 入賞者

PHD賞  「国際協力と日本の伝統工芸品のコラボ」

近藤 涼子さん 愛媛大学

作品はこちら「国際協力と日本の伝統工芸品のコラボ」近藤涼子

審査員からのコメント

 何とコラボをして国際協力に活かしていくかという点で、「日本の伝統技術」と「現地の資源」とをコラボすると言う意味では、着想が堅実で現実的だと思われた。現地の自然を活かした素材、安全安心な素材と、日本人の少なくなりつつある高度な伝統職人の技術を結びつけることでWIN-WINの関係が成立する事を連想させてくれた。例が『コットン』と『京都西陣織』だけではなく、もう少し多様な例があると完璧だった。
自分が考えたアイデアを何度も練り直し、言葉使いにも注意を払い、端正な文章に仕上げている。エッセイと言うより論文ではないかという声もあったが、テーマに添って確実にアイデアを伝えているという点では、高く評価できる。
今後も、アンテナを巡らし、日本のどのような仕事と海外の人たちのどのような仕事がWIN-WINの形で協働できるのか、提案してほしいと思う。その意識を持ち続けることが出来る人だろうと思った。これからの活躍を期待したい。

兵庫県婦人会館ユネスコ基金賞  「小さな願いと大きな夢 ―国際協力とあなた自身のコラボ― 」

原田 梨央さん 武庫川女子大学

作品はこちら「小さな願いと大きな夢―国際協力とあなた自身のコラボ」原田梨央

審査員からのコメント

自身とのコラボというところに意外性があり、おもしろい。イシューに対して自分のギフトを活かして取り組む姿勢が素晴らしい。
 段落の使い方など、読みやすい文章も評価できる。

審査員特別賞  「国際協力×日常生活―ちっぽけな自分にもできること― 」

又吉 麻菜美さん 桜美林大学

作品はこちら「国際協力×日常生活―ちっぽけな自分にもできること―」又吉麻菜美

審査員からのコメント

 ”コラボ”ということばにとらわれず、日々の生活の中にこそすべきことがあること、再確認できた。キラリと光る、強いメッセージ性のある文にうっとりした。
 反面、やるべきことについては、教科書から一つ一つリストアップしたただけのような印象もあり、今後はもっともっと、”あなたらしさ”を追求していけるといい。

優秀賞 3名

「可能性をしること」小仁井 茅春さん 立命館アジア太平洋大学

作品はこちら「可能性をしること」小仁井茅春

審査員からのコメント

 書き出しの鮮烈な印象は見事で、情景が目に浮かんだ。その分、具体的な提案の内容になると、あと一歩という印象だった。一筋縄ではいかない問題に対する、真摯な姿勢にとても共感する。今後は、その情熱を、現地の人々の要求に、より即したものにできるよう、調査力・分析力を高めていきましょう。

「食育から考える国際協力」三島 はるかさん 九州大学

作品はこちら「食育から考える国際協力」 三島はるか

審査員からのコメント

 「食育を通じて」という着想は面白いと思った。しかし、第3段落では国際問題を未整理のまま羅列しているようで、読みづらく感じた。現状分析を、どう食育につなげるかと言う書き方をすれば、納得できるのにと思った。私としては、アイデアとしては素晴らしいが、「自分がどのように実践するのか」と言う自分との関わりが薄いと思われた。

「世界を色とりどりの形で」笠原 健志さん 兵庫教育大学

作品はこちら「世界を色とりどりの形で」 笠原健志

審査員からのコメント

 レゴへの思い入れが伝わってくる。言葉なしで国際理解が出来るだろうなと想像できる。しかし、それは国際協力の一歩手前のような気がする。私への印象は薄いものになってしまった。

入賞 9名

「国際協力とスポーツのコラボ」綾部 勇太さん 神戸学院大学
「未来への扉を開く-映画で出会う新しい世界-」新山 沙樹さん 神戸市外国語大学
「国際協力×写真」多島 優加さん 関西学院大学
「音楽オリンピック―音楽×国際協力」穂積 憧子さん 慶應義塾大学
「笑顔の大切さ」遠藤 響子さん 大阪女学院大学
「国際協力・開発分野の団体で活躍する学生を主人公とした、ストーリー性重視で、若者中心に国際問題啓発へと「間接」的につながるアニメを作る!」久保井 颯太さん 学習院大学
「国際協力と犬猫のコラボ」清水 愛子さん 北九州市立大学
「国際協力と観光のコラボ」前野 惠太さん 神戸学院大学
「本当に必要なものとは」白石 汐音さん 神戸市外国語大学

【 審査委員長の総括 】

 初めて審査員をさせていただいた。「選ぶ」と言うことは自分自身が「試される」ことだと思い知らされた。言葉の定義をきちんと理解し、共通した審査基準がないと、印象で選んでしまうことになる。そのことが、自分の普段の思考回路を問われていると思った。「好き嫌い」が印象の中心になっていたのかも知れない。好きか嫌いかは、実は、案外、その人の中心にあるものが左右しているように思う。私の場合は、「熱さ」であり、「形」であったような気がする。自分の実践とか、自分との関わりを出したものを選ぶ傾向にあった。文章を練った後が感じられるものに高い評価を与えた。
 エッセイが時代と共に変化しているのか、段落の使い方とか、文章と文章の間に行間を空けるスタイルとか、原稿用紙の使い方などを気にもとめない様式も、内容重視で選んでいく時代になったのだろうか?学校内で、「高校生エッセイコンテスト」とか、「体験談」を生徒が書くときに、原稿用紙の升目を意識した指導をしてきていたが、もう古いのだろうか?学ぶべきことはたくさんあるのだと感じた体験でした。
 最後に申し添えたい。選に漏れた人たちも、審査員の眼鏡にかなわなかっただけの話で、落胆する事はありません。応募してきた若い人たちが、継続して国際協力に関わりながら、長い人生を歩んでいかれることを切に望みます。